美容師として、地域をけん引する存在として。 磐田で描くまちの未来と「いいわたし」

「地元でサロンワークをするわたし。イベントで地域活性化につなげていくわたし。どちらも繋がっている」

静岡県磐田市御厨(みくりや)地区のヘアサロン「Dream Catcher」のオーナーである川島靖貴さん。

美容師として日々お客さんと向き合いながら、御厨駅周辺で開催されるイベント「BLUE STATION MIKURIYA」の実行委員長や、2025年11月に初開催される「Iwata Seaside DREAM Fes 2025」の実行委員として、地域のイベント活動に欠かせない存在です。

美容師でありながらも様々な顔を持つ川島さんのある1日に密着させていただきました。

9時55分・JR磐田駅前で待ち合わせ

JR磐田駅の改札前で待ち合わせ、ベンチに座っていた川島さんと合流。ヘアサロンのオーナーとお店の外での待ち合わせ、なんだか新鮮でした。

「今日はこれからJR東海さんとBLUE STATION MIKURIYAの打ち合わせをします。朝、子どもたちを登園させて、サロンの準備を終えてから来ました」

美容師としての仕事と地域活動。川島さんの1日は朝から動き続けている。

11時・束の間のコーヒータイム

打ち合わせが終了し、サロンのお客さんの予約時間まで余裕があるため、コーヒータイムをとることに。

向かったのは友人に紹介してもらい、行きたかったという磐田駅前通り「ジュビロード」に面したカフェ「coffee.echou」。

店に入ると、川島さんは店主と自然に言葉を交わす。地域のつながりが、こんな何気ない場面にも表れている。

11時40分・御厨のサロンへ

カフェを後にし、ヘアサロン「Dream Catcher」へと戻る。

アメリカンカルチャーを感じさせる店内、もともとネイティブアメリカンが好きだったという川島さんらしい空間だ。

お店の名前の由来であるドリームキャッチャーも

「正直に言いましょう。モテたかった、カッコよかった(笑)」

美容師を志したきっかけを聞くと、笑いながら率直に答えてくれた。

中学1年生の頃から憧れていた美容師という仕事。磐田市内の師匠のお店で修行を積み、2014年に独立。お店を持つならもちろん地元、御厨でと考えていた。

5年越しの想いが詰まった御厨駅

川島さんの地域活動の原点には、御厨駅への深い想いがある。

「開業5年で新しい駅ではあるんですけど、実は昭和62年に請願されていて、開業まですごく長い時間がかかっているんです」

幼い頃、祖父母の茶畑を手伝いながら「いつか駅ができるんだよ」と言われていた。地域の人々の長年の願いが、ようやく2020年に実を結んだ。

「駅ができたとき、本当に嬉しかったです。ただ、コロナ禍で大きな開通イベントは出来なかったのは寂しかったですね」

その寂しさが、「BLUE STATION MIKURIYA」というイベントの誕生につながった。5年前、駅の1周年を祝う小さなイベントが、今では御厨地区を代表するイベントへ。

今年、御厨駅の開業5周年を記念して、駅開通の際に走るはずだった特別列車「御厨号」「みくりや号」の運行が5年越しの思いで実現した。

「これ、めちゃめちゃやばいです(笑)」

川島さんのこれまで築いてきた人とのつながりが、この夢を実現させたのかもしれない。

地域を盛り上げたい、活動を続ける原動力

「やっぱり地元を盛り上げたいっていうのが一番あります。地元の子どもたちが喜んで笑顔になるようなことをしてあげたい」

川島さん自身、幼少期から祭りが大好きだった。

「祭りですね、根底にあるのは」

そして、川島さんが何よりも大切にしているのが「人」だ。

「イベントをするのに一番大事なのはお金より人。実行委員にも恵まれてるし、サロンワークでも大事なのはお客さん、人。人と人との繋がりが本当に大事です」

13時・サロンワーク開始

予約の時間が近づき、最初のお客さんが到着。ここからはお客さんに向き合う美容師としての時間。

この日は19時まで8名のお客さんを対応する。

一人ひとりとじっくり向き合いながら、髪を切り、会話を楽しむ。

「サロンワークをしていると、そのお客様がイベントにも来てくれる。イベントに来てくれる人が、サロンに来てくれる。どちらが欠けてもダメで、どちらも充実しているから自分らしくいられる」

仕事とイベント活動が繋がっている。それが川島さんのスタイル。

19時・祭りの打ち合わせへ

最後のお客さんを見送り、サロンワークが終了。

「これから祭りの打ち合わせに向かいます」

地域のイベントに向けた時間から美容師の時間へ、そして再び地域の祭りの活動へ。

川島さんの1日は、まだ終わらない。

繋がり合う二つの「わたし」

自分らしく、充実した時間を過ごせるわたし――

磐田市が掲げる『いいわたし』というメッセージ。

そこには『わたし』が磐田市とのつながりで人生をもっと良いものに、充実させて欲しいという意味が込められている。

川島さんの人生に触れて感じたのは、美容師という本業を持ちながら、一市民の立場で地域をけん引できるという可能性でした。

「地元でサロンワークをするわたし。イベントで地方創生、地域活性化につなげていくわたし。どちらも繋がっている」

御厨駅の開業を願い、さらなる地域の発展への想いをのせた「BLUE STATION MIKURIYA」の立ち上げ。

幻の特別列車の実現、そして今年の「Iwata Seaside DREAM Fes」。

ヘアサロンのオーナーでありながら、地域のイベントを動かし、まちの未来を描いていく。

川島さんの姿は、まさに『いいわたし』を体現していました。

取材を終えて祭りの打ち合わせへ向かう川島さんの背中を見送る。磐田のまちに、また新しい笑顔が生まれる夜が始まろうとしていました。

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