ラグビー選手から海老芋農家へ。 「幸福度MAX」の人生を手に入れた「いいわたし」

静岡県磐田市の特産品、海老芋。

独特の縞模様とカタチが海老に似ていることから、その名前がついたとされる高級食材です。

元ヤマハ発動機ジュビロ(現静岡ブルーレヴズ)のラグビー選手という異色の経歴を持つ遠藤さんは、2020年に磐田市特産品(海老芋)承継事業を利用して新規就農。農業の道へ転身した。

 

さまざまな経験を経て見つけた、農業という現在地。その背景には、「今の自分の夢は何だ?」という自身への問いがありました。

  

諦められなかったラグビーへの想い

高校卒業後、遠藤さんは新潟の半導体工場に就職した。
ラグビーは辞めるつもりだった。

「その会社にラグビー部があって、『遊び程度で続けられれば』って思っていたんですけど、火がついてしまって」

本気でラグビー選手になりたい。
その想いが抑えられなくなり、会社を辞めてニュージーランドにラグビー留学をしたり、22歳で大学にへ進学したりした。

だが、大学卒業時はどこからも声がかからなかった。

それでも諦めきれず、「タマリバクラブ」というクラブチームに通い詰めた。
そこで縁が生まれ、27歳でようやくヤマハ発動機に社員選手として入社した。

「今思うとラグビーってめちゃめちゃハード、危険なことをやってたと思いますけど、そこにはやりがいがあったんですよ」
30歳で引退するまでの3年間、本気でプレーした。

 

「おいしい!」の一言が残していた記憶

引退後は社業に専念。最初に担当したのはバイヤー業務、その後ラグビー部の普及活動やラグビースクールの担当に。
選手時代とは別の角度から、ラグビーと携わることとなった。

充実はしていたが、忙しく働く中で今の自分について考えることも多かったという。

その一つがラグビー部の普及活動で実施した、子どもたちに「夢を持つ大切さ」を語るキャリア教育の授業だった。

「今の自分の夢は何だ?」と自問自答したという。

 

「そこで浮かんできたのが農業でした。実家が青森でリンゴ農家を営んでいて、送ってもらったリンゴを先輩や友人に配ったりすると『おいしい!』って喜んでもらえるんですよね。それが印象に残っていて」

その記憶から農業の道を考え始め、海老芋と出会い、新たな夢を追いかけることにした。

 

畑で聞こえる「ただいまー!」

「今の幸福度はMAX、めっちゃハッピーですよ。もちろん大変なこともありますけど、頑張ったら良いものができる。おいしいって食べてもらえることが実感できます」

なかでも一番嬉しいのは、家族とずっと一緒にいられること。

畑で作業していると、下校中の子どもたちが「ただいまー!」って通っていく。
その背中を見ながら作業できる。農業をやって本当に良かったと思う瞬間。

「将来、農業にも余裕がでてきたら、いずれはわな猟の免許を活かしてジビエでの自給自足もしたい。それで週末は子どもたちとラグビーを楽しんだり、それが最終的な目標ですね」

 

自分らしく、充実した時間を過ごせるわたし――

磐田市が掲げる『いいわたし』というメッセージ。
そこには『わたし』が磐田市とのつながりで人生をもっと良いものに、充実させて欲しいという意味が込められている。

遠藤さんは磐田市特産品(海老芋)承継事業を利用して新規就農し、磐田の海老芋を守りながら「いいわたし」を体現している。

 

「今の自分の夢は何だ?」という問いから始まった人生の転換。

ラグビーを追いかけ続けた20代。会社を辞めてでも、大学に入り直してでも、諦めなかった。
その執念とチャレンジ精神、そして会社員時代に培った地域とのつながり。
すべてが今の遠藤さんをカタチづくっている。

 

「自分に農業が合っているって感じるので、辞めたくないなって。その為にしっかり稼いでいかないとね」

大変なことも、辛いこともある。だけど自信を持って今が幸福度MAXと言える。
遠藤さんのお話を聞いて、その言葉を躊躇いなく言えることがすごいと感じた。

 

元ラグビー選手から海老芋農家へ。
磐田で新しい人生を手に入れた遠藤さんの姿は、まさに「いいわたし」そのものだった。

(2026/2/25 取材)

 

 

 

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