正直にいうと、移住前の鳥取のイメージは「砂丘」「かに」が大部分を占めていた。
鳥取で暮らし始めてからは、鳥取駅周辺のイメージへと変わって行った。北口を出ると目の前には百貨店があり、さらに北に進むと通りごとに商店街がある。カフェやランチのお店に困ることはなく、駅の近くに住んでいれば普段の買い物は徒歩圏内で済む。「これが鳥取市か」と少しわかった気になった。
鳥取城跡として知られる鳥取市のシンボル、久松山
しかし、取材などで市内を行き来するようになってから、だんだんと駅周辺とは違う空気が、それぞれの場所で流れているような気がしてきた。同じ市内のはずなのに、場所が変わると、どこか時間の流れや人の雰囲気も変わる。違いははっきり説明できるほどではないが、無視できるほど小さくもない。
地域の方に聞いたところ、鳥取市はいくつかの地域が合併してできたまちだという。旧鳥取市、国府、福部、河原、用瀬、佐治、気高、鹿野、青谷。もともとは、それぞれ別の自治体だった。
鳥取市を南北に流れる千代川と東西に走る山陰本線の鉄橋
そこで、協力隊としての仕事や日常の延長で関わって感じたことを、9つの地域ごとに書いてみることにした。「ひとつのまち」として語られがちな鳥取市を、いくつかの視点にほどいていきたいと思う。同じ市内でありながら、行けば違う空気に触れられる。どの地域で過ごすかによって、自分の感情や関わり方が変わる。私と同じように「砂丘」や「かに」のイメージで止まっている方にこそ、ぜひ読んでほしい。
第1回は、用瀬地域から。
鳥取城跡として知られる鳥取市のシンボル、久松山
鳥取市を南北に流れる千代川と東西に走る山陰本線の鉄橋