リポーターから市役所職員に転職  移住のきっかけは、「おもしろそう、やってみたい」

鳥取駅から歩いてすぐ、鳥取市役所の7階展望ロビーからは今日も久松山がよく見える。

そろそろ葉も色づき始める頃だ。

ずっと住み続けるつもりはなかった

「この間は日本酒のイベントに行って、審査員をしてきました。誰でも応募できるんですよ。キャンプや釣りも、よく行きます。あとは、豆腐ちくわ作り体験もして」

楽しそうに話すのは、鳥取市役所の市民税課で働く網田美弥(あみた みや)さん。

 

「もともとは、長崎でローカルテレビのリポーターをしていました。食レポとかもしていましたよ」

 

鳥取市に移住する前は、リポーターとして地元の長崎県で地域の魅力を伝える仕事をしていたが、たまたま鳥取市のキャスター職の求人を見つけ応募した。鳥取市役所広報室の職員として取材に出かけ、ケーブルテレビの番組キャスターとして鳥取市の魅力を伝える仕事だ。

 

「おもしろそうだなと思って。もともと、やったことのないことをやってみたい性格なんです。ただ、キャスター職の任期が3年だったのもあって、正直ずっと住み続けるつもりはなかったです。次は何をしようかな、くらいに思っていて」

 

着任後は鳥取市の広報番組「とっとり知らせたい!」でキャスターを務め、地域の魅力を発信してきた。

今年、移住して12年になる。任期終了後も鳥取市に住み続けたのはなぜだろうか。

 

「初めは、時間を持て余してしまっていたんです。ただ、市役所の部活動で野球部に入ってからは、だんだんとつながりができました。そこで今の夫とも出会ったんです。市役所の職員の関係性もよく、その後生まれた小さい子どもと一緒に、他の職員のお家に招待いただいたこともあります」

 

「最初来た時は、『なんで鳥取に?』って構えちゃう人も多かったんですけど、一度輪の中に入ったらすごくあたたかく迎えてくれる人が多いです」

 

鳥取市の市民性だろうか。県外から来る人を迎える際は「雨や雪の多いのに」と謙虚な姿勢になることが多いという。しかし、良い意味でネットワークが狭く、気づけば周りの人に迎え入れられ、居心地のいい場所へと変わっていったそう。

網田さんはキャスター職の任期後、市役所の採用試験を受け直し、あらためて事務職として広報室に配属された。

 

移住して知った鳥取の良さを伝えたい

広報室の職員として働いていた頃、網田さんの発案で鳥取市役所特命係というチームが発足。鳥取市役所特命係とは、市長の命を受けた市役所職員の精鋭が、部署の枠を超えて動画編集やイラストなど、それぞれの得意分野を活かし鳥取市の魅力を発信する部隊だ。YouTubeチャンネル『鳥取市役所特命係』を開設し、鳥取市の魅力を発信し続けている。

 

「一人でやると限界があるので、周りのちょっと技術を持った人たちに協力してもらいたいと思って。仕事ではなかなか広報や動画制作には関わりがない人も、それぞれの特技を活かして、ちょっと好きなことを仕事でできたらいいなって思ったんです。」

 

現在は市民税課で働く網田さん。

「実際に他の部署に異動して、撮影のために業務を調整をして外に出るのも、なかなか大変だったんだなっていうのを実感しています」

 

「でも、やっぱり楽しいです」

 

通常業務のかたわら、特命係としても活動するのは簡単なことではないはずだ。特命係として各部署からメンバーが集まったことからも、網田さんの人望の厚さがうかがえる。

何事も楽しむ網田さんの周りには、人が集まるのかもしれない。

 

この土地を楽しむ

住み続けるつもりはなかったはずの網田さんだが、話すほどに鳥取市での暮らしを満喫していることが伝わってくる。

 

「カニがやっぱり美味しいです。冬は親ガニ、夏は白イカ」

冒頭で話していた「豆腐ちくわ」も鳥取の郷土料理のひとつだ。

さらに地域のイベントにも積極的に参加し、鳥取のイベントについては知らないことはないのではないかと周りに言われるほどだ。

「かなり満喫していると思います」

網田さんの話からは鳥取市への愛着を感じる。そして何事もまずは楽しむ、ということの大切さに気付かされる。

 

移住のきっかけは、「おもしろそう、やってみたい」という気持ちで良いのかもしれない。完璧な理由や将来像にこだわりすぎず、まずは自分の好奇心に従ってみてはどうだろうか。

そんな気軽な選択の先に、自分にとって居心地の良い場所が見つかるかもしれない。

 

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