この記事は、鳥取市で暮らす人々に密着し、その日常をありのままに描く企画です。暮らしの中での気づきや発見を通して、鳥取市のリアルな日常をお届けします。
「ほっとかれてる感が、好きなんですよね」。袋川沿いでそう話すのは、2年ほど前に東京から鳥取市に移住してきた平見優子さん。

東京で映像の仕事をしていた平見さんが初めて鳥取に来たのは、映画の撮影。鳥取に縁のある友人に教えてもらったお店の雰囲気や、出会った人との距離感が心地よく、それからも鳥取との縁が続いた。様々なつながりが重なるうちに、移住を決断。
今は東京の仕事をリモートで続けながら、週4日で働き、残りの時間で宿のベッドメイキングをしてみたり、週末にバーを出店してみたり。やってみることを楽しんでいる。
borzoirecord
まず向かったのは、鳥取駅前エリアにあるレコード専門店「borzoirecord(ボルゾイレコード)」。
「レコード屋が日本から結構減ってるはずなのに、鳥取にあるって聞いて結構びっくりして」
最初は売れるのかと心配していたが、入荷のたびにすぐ買いに来るお客さんがいて、音楽好きが自然と集まってくる場所だとわかった。

「ジャケットがいいだけでも買いたくなるんですよね。レコード屋さんが自分の住んでいる町にあるということが嬉しいというか。私にとっては、お守りのような場所です」
市街地を流れる袋川
レコード屋を出て、袋川沿いを歩いた。
「この辺りはよく散歩したり、春には桜が咲いてお花見したり。なんでも東京と比べてしまいますけど、独り占めできる桜の量が全然違うんですよね」
夜はお酒と本を持ってここに来て、一人で読むこともあるとか。
「誰も通らないので、ほっとかれてる感があるのが好きなんですよね」。
川沿いを歩いていると、平見さんが立ち止まった。「メロディーの碑」と書かれた石のモニュメント。ボタンを押すと、地元の小学生が歌う合唱が流れてきた。

「これゆるい合唱が聞こえてくるのが、なんか可愛くていいんですよね。歌詞が書いてあるのはよくみるけど、実際に流れるのは珍しいなと思って」
移住する前からこのモニュメントが好きだったという。
et-to
次に向かったのは、カフェ「et-to(エト)」。もともと店主が働いていた別のお店で知り合い、それから通うようになった場所。
「とにかくケーキが美味しくて。絶対に美味しいケーキが食べられるっていうのが安心感あって」

チーズケーキを口にしながら、店内を見渡す。器などが置いてあり、気まぐれに変わっていくのも見応えがあるという。平見さんにとって、ふらっと立ち寄れる憩いの場所になっている。
駅前DJイベント
夜が近づくころ、駅前ではDJイベントが開かれていた。平見さんが友人と一緒に主催しているイベントだ。

「割と平日のことが多くて、みんな仕事終わりでふらっと寄ってくれたりして」
クラブと違って屋外だから、音楽を聴きたい時は前に出て、人と話したい時は離れればいい。みんなが自由に、自分のペースで楽しめる空間だという。
N(necco70)
夜に立ち寄ったのは、メニューのない料理店「N(necco70)」。
「約束して飲みに行くのが得意じゃないので、一人でふらっと入って、ちょっと喋れる人がいたらな、みたいな感じで」
来てみたら知っている人がいたりして、気づいたら会話が生まれている。そんなつながり方が心地よい。
休日、ふらっと立ち寄る場所がある。好きなものを自分のペースで好きでいられる居場所がある。それが平見さんから感じる豊かさの正体かもしれない。