看護師から、想定外の行政保健師に 育む地元愛と、見つけた自分の心地よい生き方

大牟田駅の東口を出てすぐ目に留まる大牟田市庁舎の裏手には、市民の健康づくりをサポートする保健センター”らふる”がある。

「どうして取材を受けちゃったんだろうって、、、」と、いつもより少し緊張した様子ながらも笑顔で迎えてくれた星野さん。

星野さんが所属するのは、らふるの2階に入っている大牟田市健康づくり課。

就職とともに地元・大牟田を出て、福岡市内で6年間、看護師として経験を積んだ。

新生児の集中治療室(NICU)時代に、退院した子どもたちの地域に帰ったその先を見たいという思いや、保健師という仕事にも興味をもっていたそう。

その後、小児医療の現場を離れ、看護師を辞めることを決意した。

「とりあえず、離れてみよう!みたいな。」

一度、実家に帰って、これからのことをゆっくり考えようと思っていた矢先、

大牟田市の子ども家庭課の会計年度任用職員の求人を、知り合いから勧められた。

「すっごい、悩みました。」

行政保健師になることは即決だったのではなく、想定外の誘いに「まだ自分のしたいこととか、定まっていないのに入っちゃって大丈夫かな。」と迷いがあったそう。

「でも、いってみないとわかんないかな〜と思ったので。」

星野さんの言葉から、前向きな人柄が伝わってくる。

その後、会計年度任用職員から正規職員になった星野さん。

正規職員へ進んだ理由について、仕事にも興味が湧いてきたことに加え、

「一番大きかったのは、人かなと思います。」と少し気恥ずかしそうに教えてくれた。

「人の繋がりが多い方が周りに多くて、それもすごく恵まれたなぁと。」

もともと市役所に知り合いが多かったわけではなく、働く中で関わる人からどんどん繋がりが生まれたという。

福岡市内から大牟田に戻り、地元に対する感情には大きな変化があったそう。

昔は、「何もない、出たい!」と感じていた大牟田。

今はその感情に大きな変化があるみたい。

「ちょうどいいやん!と思いました。生活するのに何もこまらん!って。」

これまでの緊張気味だった様子が、一気に和らいだ表情からは大牟田での生活が充実していることがうかがえる。

有明海に面している大牟田。

ひとりで海辺へドライブに行き、夕日をみて気合いを入れる日もあるという。

「ひとり時間で、落ち着くなぁっていう時間を取りやすくなりました。」

入庁して4年。今の仕事のやりがいも、「人」にあるそう。

「なにかひとつでも役に立つことができた、って思うことがある時は、やりがいを感じます。」

健康づくり課で「子ども」という領域から離れたことが、今後のやりたいことを生み出しているそう。

「子どもや成人、家族全員を見ていくことが大切だと思う。」と語る星野さん。

「大牟田市民の皆さんが大牟田で元気に長生きして欲しい。それを支えられるようなことができたら。」

これまで、控えめそうに自身のことを話してくれた星野さんの内にある熱を確かに感じた。

一度は何もないと思って離れた地元・大牟田。

「ちょうどいい」心地よさを兼ね備えた大牟田での暮らしの中で、市民の健康を支える保健師として、たしかな一歩を踏み出している。

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