選手からコーチへ。 ボールと向き合ってきた「いいわたし」が大切にする子どもたちとの向き合い方。

裸足でボールを蹴ることが、子どもの未来を変えるかもしれない。

静岡県磐田市で「乳幼児の運動あそび」「ビーチサッカー」を通じて子どもたちの成長を支える髙橋亮祐さん。

7歳からサッカーを始め、大学からはフットサルへ転向しプロの世界へ。その後ビーチサッカーと出会うなど、様々なフィールドでボールと向き合ってきた。

現在はNPO法人スポーツコミュニティ磐田ポーラスターで「お茶コーチ」として活動し、子どもたちの運動指導に情熱を注いでいる。

プロフットサル選手として日本で活動、そしてイタリアへ

「もともと選手としてやるのも、自分がどこまで挑戦できるかなと思っていて。小学校の卒業文集に『サッカーの日本代表になる』って書いていて、それを叶えるぞとがんばっていました。でも大学のときにサッカーでは難しいと感じて。フットサルならどうかなと挑戦を続け、日本のトップリーグでプレーした後にセレクションで海外のチームへ移籍しました」

更なる挑戦を求めて渡った、イタリアのレッジョ・エミリア市。そこで思わぬ出会いが待っていた。

「レッジョアプローチっていう幼児教育法があることを知ったんです。アートを掛け合わせたような、幼児教育と感性が広がるようなアプローチがあるんだなと思って。僕の中でフットサルしに行ったのに、そっちにすごく興味を持ってしまって、運命を感じちゃいましたね」

レッジョ・アプローチとは。

子どもたちの主体性や好奇心を尊重し、共に探求しながら学びを深めていくことを重視する教育アプローチ

実は髙橋さんは大学時代から幼児教育に関心があり、近隣の幼稚園でキッズプログラムの提供を学生ながら仲間とおこなっていた。その経験から、イタリアでの出会いに運命を感じた。

裸足でボールを蹴る喜び、ビーチサッカーが教えてくれたもの

イタリアから帰国後、髙橋さんを待っていたのは新たなサッカーとの出会いだった。

「ビーチサッカーの元日本代表の人と共通の知人がいて、チームを作りたいんだけど一緒にやらないかと。会った日の翌日の朝6時から、磐田市内にあるビーチコートでトレーニングを始めました」

「サッカー楽しいなっていう純粋な気持ちを思い出させてくれたのがビーチサッカーでした。裸足でボール蹴ったり、砂浜を走り回ったりする経験はこれまで体験したことなくて。子どもの頃に体験してたら足の裏に刺激があったり、身体づくりにもすごくいいんじゃないかと感じました」

7年間のビーチサッカー選手として世界No.1選手との公式戦や全日本選抜選手のキャリアを積みながら、仕事は小・中学校での勤務、広告代理店での営業経験も重ねた。多様な経験が、現在の指導スタイルの基盤となっている。

「お茶コーチ」が生まれた理由

現在の愛称「お茶コーチ」の由来を聞くと、親しみやすいエピソードが返ってきた。

「大学時代に幼稚園や保育園にコーチとして行くときに、「髙橋コーチ」とか「亮祐コーチ」で最初はやってたんですが、もうちょっと楽しい感じになる、覚えやすい名前があるといいよねという話になって。静岡出身だしお茶でいいんじゃないかって。結構安直ですね(笑)それを今も使い続けています(笑)」

「リーベの運動あそび」が目指すもの

現在髙橋さんが取り組む「リーベの運動あそび」は、従来のスポーツ指導とは一線を画すアプローチを取っている。

「リーベの運動あそびは大人も子どもも楽しめることを大切にしています。大人がこうしたいっていう主体性の部分と、子どもの主体性の部分。この2つの主体性が交わって本当の楽しさにつながると思うんです」

例えば継続的に地域で開催をしている「親子deボルビ」というイベント。

「『親子でボールあそび』の略と『Ball be』のボールで〇〇するという意味なのですが、ボールを使っていろんな運動遊びをします。子どもたちのイメージを引き出しながら、それを動きにつなげる、仲間で一緒に活動できるようなアプローチをしています」

自分らしく、充実した時間を過ごせるわたし――

磐田市が掲げる『いいわたし』というメッセージ。

そこには『わたし』が磐田市とのつながりで人生をもっと良いものに、充実させて欲しいという意味が込められている。

髙橋さんの人生に触れ、様々な場所でのスポーツ経験を経てから故郷である磐田市で、乳幼児へ運動あそび届ける姿は『いいわたし』を体現していると感じました。

「みんなが楽しく運動していたり、緑の天然芝で家族や子どもたち同士が楽しんでいる。そんな風景を見ているだけでめっちゃいいなって感じるんですよ。自分がなにかしていて、というよりも周りがやっている姿を見て、いいなと思う。充実感を感じる瞬間ですね」

大学時代の幼児教育に触れたエピソード、イタリアでの出会い、ビーチサッカーでの経験。いろんなところで少しずつタネを集めながら、今の場所へたどり着いた「お茶コーチ」。

今日も髙橋さんは地域に楽しい運動あそびを届けている。

OFF TOKYO
公式LINE
はじめました
新着記事や動画、最新の
イベント情報をお届けします!
友だち追加はこちら