初めて訪れる地で、ゼロから仕事を作る。「やらない後悔をしたくない」——元・地域おこし協力隊が鳥取で挑み続ける理由

東京の大学を卒業後、2016年から地域おこし協力隊として鳥取で、ドローンを活用した業務に取り組んだ宇佐美 孝太(うさみ こうた)さん。同年に株式会社skyer(スカイヤー 以下・skyer)を設立。現在はドローンによる地域課題解決を中心に据えながらも、分野に捉われない様々な事業を展開している。

新たな挑戦を続ける背景にある、「やらない後悔をしたくない」というモットーや「現状維持は衰退」という考えについて、お話を伺った。

「新しいビジネスの実証に取り組む拠点」として開業したSANDBOX TOTTORIでインタビューを実施

 

売上げではなく、課題解決へ。
答えは「地方」に

大学時代、東京の企業でアルバイトやインターンシップに取り組んだ宇佐美さん。その中で、売上げを第一優先とし、時には顧客が必要としていないものまで提案しなければならない経験をしたことが、自分の将来の働き方を考えるきっかけになったそうだ。

 

自分がやりたいのは、売上げのために働くのではなく、本当に求められていることや人に対してサービス・解決策を届けること——。

そう気が付いたとき、目が向いたのが地方だった。都市部に比べ、課題に対する担い手やサービスがまだ少ない。だからこそ、必要とされる分野で、自分にしかできないことに取り組めると考えた。

 

「不安は全くなかった」。
偶然と直感が重なった、鳥取への第一歩

地方で活動することを決めたが、どのようなツールを使って、地方に必要とされるサービス・解決策を生み出すかは決めていなかったという。

そんな時、「たまたま見たニュースで取り上げられていた」ドローンに可能性を感じた。一次産業との組み合わせや、人材不足といった課題を解決する手段として、地方での有用性を確信した。同時期に鳥取県で地域おこし協力隊の募集があり、法律上でも人口が少なく広い土地がある方が実装しやすかったことから、鳥取での活動を決めた。

海洋漂着ごみを回収するドローン。一度で50kgのごみを回収できる

「フランクな形で飛び込んでしまいました。(地域おこし協力隊として活動するまで)鳥取に行く機会もありませんでしたが、不安は全くなかったですね」

やらない後悔をしたくない」。この想いで、鳥取での挑戦を始める。

 

就任2ヶ月で起業。「現状維持=衰退」の考えで、多領域に挑む

地域おこし協力隊として活動を始めたが、最大3年の任期が設けられていることや、課題解決には自分だけではなく、より大きな単位で活動する必要性を考え、就任2ヶ月でskyerを設立した。両立は大変だったと振り返るが、鳥取での取り組みを続けるための基盤を作った。

これまでに山陰地方初の3人制バスケットボールチームのプロデュースや、仕事と観光の両機能を備えた複合施設「SANDBOX TOTTORI(サンドボックス鳥取)」・日本最大級の中国庭園・燕趙園に併設する「鳥取中華飯 メイヤー!」の運営などを展開してきた。

ドローン事業にとどまらず、様々な領域での挑戦を続ける理由について聞くと、このような答えが返ってきた。

 

「時代が変化しているのに、現状維持だと差が開いてくるじゃないですか。それって衰退っていうことなので。時代の変化に合わせて我々も進化し、先手を打っていくことが求められているので、スピード感を大事にしながら事業を進めています」

 

実際、コロナ禍に鳥取砂丘周辺の飲食店が観光客の減少で閉業する事態を受け、この想いが強まったそうだ。時代の流れに合わせ、一歩先を行く挑戦を続ける。その代表例であるSANDBOX TOTTORIについて聞いてみた。

目の前に広がる鳥取砂丘の景色。「1日いても飽きないです」と宇佐美さん

 

実証と共創。鳥取から目指す未来とは

SANDBOX TOTTORIのキーワードは、“新しいビジネスの実証フィールド”。

鳥取砂丘など、鳥取市の資源を活かしたビジネスの可能性を県外企業に発信し、この場所から取り組みを進めるための拠点として開業した。

“コミュニティープレイス”というコンセプトには、会社や立場を超えた共創への想いが込められている。宇佐美さん自身が、自社だけでは課題解決を進める上で限界があることを実感したからこそ、生まれた場所だ。週に1度、利用者が集まってコーヒーを手に意見交換する機会を設けるなど、自然に会話や交流が生まれる場作りを手掛け、新しい挑戦が始まるきっかけ作りに励んでいる。

コーヒーを飲みながら、意見交換や交流を行っている。画像提供:宇佐美さん

 

今後は、もっと地元の人に利用してもらうことで、利用者と共にリアルな声を吸い上げ、課題解決につながる場にしていきたいと考えているそうだ。

将来世代に向けては、これまでにスポーツチームの運営を通じて地元企業と関わる学びの機会を作ってきたが、さらに活躍を後押しする場所にしていきたいと話す。「一緒により良い未来を作っていきたいと思っています」と、鳥取の未来を創る若者との共創についても抱負を教えてくれた。

 

何気なく見たニュースや、ふと覚えた違和感、「これだ」という直感——。

小さな偶然や、心の動きに従って一歩踏み出してみると、その先で、新しい場所・自分にしかできない挑戦・働きがいと出会えるかもしれない。

 

まず、やってみる。維持するのではなく、常に進化を選ぶ。

宇佐美さんの新しい挑戦に、これからも目が離せない。

東西16kmと広大な鳥取砂丘。ドローンの活用によって、効率的な海洋漂着ごみの回収や、熱中症患者の早期発見が可能になったそうです

SANDBOX TOTTORIの内装やインテリアは宇佐美さん自身が担当。鳥取市の伝統「因州和紙」を壁面に使用するなどのこだわりを教えていただきました

 

動画は以下のボタン
\「動画を見る」より/

動画を見る
OFF TOKYO
公式LINE
はじめました
新着記事や動画、最新の
イベント情報をお届けします!
友だち追加はこちら