挑戦を続けるスナックのママが語る 熱く生きられるまち、大牟田

大牟田の繁華街である大正町通りから、少し奥に入った中島町。

夜になると、ネオンの光が輝くこのエリアの一角にあるプラザビルの3階に「スナック凛」はある。

扉をあけると柔らかい笑顔で「いらっしゃいませ、ようこそ」と出迎えてくれるのは、スナック凛のママである西田 鮎美(にしだ あゆみ)さん。

モデルへの挑戦。
帰郷後34歳で店を出すと決意

西田さんは、大牟田に生まれ、大学進学と同時に福岡市内へ。

大学を卒業した後、福岡県立美術館の受付として働いていたが、ほどなくしてスカウトを受け、モデルの道へ進んだそう。

当時、3代続く実家の花屋を継ぐことも考えていた。

「お父さんが『花屋はこの先どうなるかわからんから、お前の道を行け』って背中を押してくれて、決断できたんです。やったことないことでも声がかかると、チャレンジ精神が芽生えちゃって」

いきいきと話す西田さんからは、パワフルなお人柄が感じられる。

<モデル時代の西田さん>

モデル業をスタートしてから5年が経った時のこと。

「愛する人との別れがあったり、25歳で人生のどん底状態になってしまって。そんな私を見て、日頃は娘の人生に口出しをしない父が『帰ってこい』って言ったんです。その言葉が響いて、大牟田に帰ってきました」

いつも人生の岐路には、父の言葉が自分の道をサポートしてくれていた。

帰郷すると同時に、西田さんの心に湧き上がった感情があった。

「34歳で店を出そうって決めたんです。父のあとを継げなかったこともやっぱり少し心残りで」

「帰ってきた頃には、故郷で自分のお店を出したいという思いが強くなっていました」

目指したのは、スナックの開業。

18歳の頃に、母親の友人のお店を手伝っていたため、この仕事の楽しさを知っていた。

「スナックもモデルも、自分自身をブランドとして立ち上げる、っていう共通点があって。自分自身を通じて人に活力を与えたい、が私の根っこにあるんだと思ってます」

大牟田を想い、語り、行動するスナック

老舗のクラブで経験を積んだ後、決意通り、34歳で店を出した。

開業から14年目を迎えたスナック凛が掲げるモットーは「大牟田を想い、語り、行動する」こと。

そのモットー通り、ママである西田さんは、あらゆる活動が大牟田づくし。

これまでには大牟田市倫理法人会の会長、大牟田市の食堂組合、中小企業家同友会、青年会議所に所属するなど、自身を成長させるとともに、まちの課題や現状の動きを知りにいった。

直近でも、母校である大牟田北高等学校の同窓会藤蔭会・副会長を務めるなど、大牟田に関わる活動は止まない。

大牟田市は高齢化率が高く、「認知症の人とともに暮らすまちづくり宣言」をしている。この市の取り組みに合わせて、スナック凛では2019年から月に一度、お店を「認知症カフェ」としてオープンしている。

この日は、スナック凛が認知症の人やその家族、認知症に関心がある人、地域住民の方が集う憩いの場「大人の凛カフェ」へと姿を変える。

「他にも認知症カフェはあるんですけど、スナックという場所でやっているからこそ足を運んでくださる方もいて。大牟田で、誰かの居場所になればいいなと思って始めてみたんです」

熱く生きられるまち、大牟田

大牟田というまちに意欲的に関わり続けられるのはどうしてなのか。

「私、できないのにやろうとするんですよ(笑)だから周りに迷惑かけるんですけど、大牟田の人たちはその『やってみたい』っていう私のエネルギーを大事に受け入れてくれるんですよ。だから、大牟田は熱く生きられるまち、なんだと思うんです」

熱く生きられるまち。

「経営とか数字に強いわけじゃないし、多分、都会だったら自分でお店を持つことはできないと思います。発したエネルギーを周りの人たちが受け取ってくれて、支えてくれて、たくさんできた恩やご縁がある大牟田だからこそ、自分を奮い立たせられるんです」

「なんか気づいたら、大牟田大牟田ばかり言ってしまってるんですけどね(笑)」

次のテーマは「次世代へつなぐ」

50歳を前にした今、新たなテーマも。

「遊ぶのには都会の方が楽しいかもしれないけど、やりたいことを叶えるのに、あえて大牟田でやってみようと思う人を応援したいんです。自分が散々助けてもらってきたので、その恩を次の世代へつなぎたくて」

直近は、EQやコーチングに関わる勉強に力をいれているそう。

「いきいきと生きられる大牟田の人が増えるような、種まきをしていきたいんです」

お店自体も次の世代へ引き継いでいくとともに、“令和の”スナックに変えていきたい。

大牟田であらゆる世代が交流できる場づくりや、夜だけではなく昼飲みができるスナックにするなど、溢れ出すアイデアが頭にあるそう。

「やりたいことがいっぱいあって。ずっと挑戦で、終わらないですね」

終わらない、挑戦。

やりたいことに対するハッキリとした挑戦の意志から、西田さんの芯を感じた。

どこにいても、自分のやりたいことに挑戦できる今の時代だからこそ、どこに身を置くかの基準は個人の価値観によって多様化しているように思う。

「できるかどうかはわからない」けど、「やってみたい」エネルギーはある。

そんな人がこのまちに来れば、そのエネルギーを受け入れて、支えてくれる仲間に出会えるかもしれない。

(2025/09/02 取材 山本和果)

西田さんの動画はこちらからご覧いただけます

大牟田市シティプロモーションサイト「OMUTA City Life」

WEBサイト:https://life.city.omuta.lg.jp/

Instagram:https://www.instagram.com/omutacitylife/

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