ふるさと住民登録制度~関係人口を可視化する。ふるさと住民アプリとOFF TOKYOでつくる、地域との新しい関係~


地域に何度も足を運んでいる人。
地域の人と連絡を取り合っている人。
イベントに参加する人。仕事で関わる人。
地域の商品を買い続けている人。
友人を連れて、また地域を訪れる人。
移住はしていない。住民票もない。

でも、その地域との関係は確かにある。
これまで、こうした人たちを自治体が継続的に把握し、「地域とどのように関わっているのか」まで可視化することは簡単ではありませんでした。

2026年度に本格運用が予定されている「ふるさと住民登録制度」は、こうした地域との関わりを「関係人口」として可視化していく新しい仕組みです。
制度では、誰でも登録できる「ベーシック登録」と、地域で担い手活動を行う人を対象とした「プレミアム登録」が設けられています。観光で訪れるだけでも、移住するだけでもない。その間にある多様な地域との関係を捉えていこうという制度です。

総務省|ふるさと住民登録制度ナビ

私たちシビレは、この制度に大きな可能性を感じています。
一方で、これまで地域の現場で人と向き合ってきたからこそ、感じていることがあります。

関係人口は、アプリに登録した瞬間に生まれるものではない。

その前には、地域を知るきっかけがあり、人との出会いがあり、「行ってみたい」と思う瞬間があります。
そして訪れた後にも、「また行きたい」「次はこんなことをやってみたい」と思える関係が必要です。

OFF TOKYO開催|鳥取市「トットリナイト」での交流の様子

では、ふるさと住民アプリと、リアルな地域との関係をどうつなげればいいのでしょうか。

関係人口は、これまで見えにくかった

自治体の地域プロモーションでは、これまでさまざまな数字が成果として使われてきました。

WebサイトのPV。
SNSのフォロワー数。
動画の再生数。
イベントの参加人数。
移住相談件数。
そして、移住者数。

もちろん、どれも重要な数字です。
ただ、その間には数字では捉えにくい人たちがいます。

「毎年遊びに来る」
「地域に友人がいる」
「地域のイベントを手伝っている」
「仕事で地域と関わっている」
「東京に住みながら、地域の人と定期的に連絡を取っている」

こうした人たちは、その地域にとって大切な存在です。

今回のふるさと住民登録制度の大きな意味の一つは、これまで見えにくかった人たちとの関係を、自治体が継続的に捉えられるようになることだと考えています。

でも、アプリだけでは関係は生まれない

ふるさと住民登録制度のアプリが整備されれば、地域への登録や情報提供、活動実績の把握など、関係人口を可視化するための基盤ができます。
これは大きな変化です。
ただし、登録する仕組みができたからといって、自動的に地域に関わる人が増えるわけではありません。

大切なのは、「なぜ、この地域に登録したいと思うのか」です。

地域の記事を読んだ。
SNSで地域の人を知った。
東京で地域の人と出会った。
「今度来たら、この人を紹介しますよ」と言われた。
実際に現地を訪れた。 そこで、また会いたい人ができた。

地域への関心が「場所」から「人」へ変わったとき、その地域は単なる旅行先ではなくなります。

OFF TOKYOがつくってきたのは「出会う場所」だけではない

シビレでは、「東京にこだわらない、生き方」をコンセプトにOFF TOKYOを運営しています。
自社メディアやSNS、イベント、地域・企業・クリエイターのネットワークを活用し、地域を知るところからイベント参加、さらに地域との関係づくりまでをつないできました。
ただ、OFF TOKYOの役割は、東京でイベントを開催することだけではありません。

私たちが重要だと考えているのは、都市と地域の間に「つなぐ人」がいることです。

OFF TOKYO開催|三条市イベント「食からひもとく三条のくらし」コミュニティリードを務めるシビレ社員と参加者

日々、地域の魅力や人、仕事、暮らしを発信する。
興味を持った人の話を聞く。
その人が地域で何をしたいのかを考える。
地域側の人や活動につなぐ。
実際に訪問する機会をつくる。
訪問後も次の関係につなげる。

つまり、情報発信 → 出会い → コーディネート→ 現地訪問 → 地域活動→再訪 という流れです。

OFF TOKYOという東京側のハブだけでなく、地域側にも人がいる。
その両方をコーディネーターが行き来しながら、人と人をつないでいく。

そこに、シビレの考える関係人口づくりがあります。

実際に「地域へ行く」という行動が生まれている

新潟県三条市では、東京で毎月、定員20名程度の交流イベントを開催し、現地訪問の機会と連動させています。
目的は、イベント参加者を増やすことだけではありません。
地域を知り、人と出会い、その先に「実際に三条へ行ってみる」という行動をつくることです。
2026年4月から7月までの3か月間で、実際に三条市を訪れた人は9名。
そのうち7名はコーディネーターがアテンドし、2名はアテンドなしで、自ら三条市を訪れました。

私たちが特に重要だと感じているのは、この「自分で行く人が生まれた」ということです。

三条凧合戦移住体験ツアー|地域の複合交流拠点「三-Me.」の見学の様子

誰かに連れて行かれたから訪れるのではない。
自分の意思で、「もう一度行こう」と思う。

そこまでいけば、地域との関係は少しずつ自走し始めています。

ふるさと住民アプリとOFF TOKYOを接続する

ここで、ふるさと住民アプリが生きてくると考えています。

OFF TOKYOで地域を知る。
人と出会う。
その地域のふるさと住民として登録する。
地域から継続的に情報を受け取る。
現地を訪れる。
地域の人や活動につながる。
活動実績が記録される。

さらに関わりが深まり、担い手になっていく。

つまり、

OFF TOKYO|知る・出会う

 ふるさと住民アプリ|登録する

 地域・コーディネーター|訪れる・関わる

 ふるさと住民アプリ|関係を記録・可視化する

 OFF TOKYO × 地域|また関わる

という循環です。
OFF TOKYOと国のアプリを技術的に直接連携する、という意味ではありません。

私たちが考えているのは、人の体験として接続することです。

(左)浪江町内ツアー事前セッションイベント、(右)浪江町内ツアーの様子

デジタルとリアルを、何度も往復する

ふるさと住民アプリは、これまで見えなかった関係を可視化する。
OFF TOKYOや地域コーディネーターは、その関係が生まれるきっかけをつくり、次の行動につなげる。

どちらか一方だけではありません。

デジタル → リアル → デジタル → リアル。

この往復を重ねることで、
「地域を知っている人」が、
「地域へ行ったことがある人」になり、
「地域に知っている人がいる人」になり、
「地域で何かをする人」になっていく。

そのプロセスそのものが、関係人口なのではないかと思います。

「何人登録したか」だけを成果にしない

ふるさと住民登録制度が始まると、自治体では今後、「何人登録されたか」という数字も重要な指標になるでしょう。
ただ、私たちは登録者数だけではなく、その人が地域とどんな関係を持つようになったのかまでを見ていきたいと考えています。

一度登録した。
一度イベントに参加した。
一度地域を訪れた。

そこで終わらせない。

また情報を届ける。
また話す。
次に来る理由をつくる。
地域で必要とされていることと、その人がやりたいことをつなぐ。

そして、関係が続いていく。

制度に人を集めるのではなく、地域との関係を制度につなぐ。

ふるさと住民登録制度は、これまで地域の中で一つひとつ生まれていた関係を、初めて大きな仕組みとして可視化できる可能性を持っています。
だからこそ、私たちは制度からスタートするのではなく、

「この地域と、誰に、どう関わってもらいたいのか」から考えたい。

地域の魅力を発信する。
人と出会う。
都市と地域をつなぐ人をつくる。
現地で関われる機会をつくる。
その関係を続ける。
そして、そこですでに生まれている関係を、ふるさと住民登録制度につなぐ。

関係人口を可視化する。そして、見えた関係を、次の関係へつなげていく。

OFF TOKYOは、都市と地域の間に立ちながら、その新しい関係づくりを実践していきます。

2026/8/29 シビレ株式会社 鈴木翠

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