姉妹で磐田から、世界へ。 タンブリング競技に打ち込む「いいわたし」

「競技の魅力はスピード感だったり、技がダイナミックで、迫力があるところです」

そう話してくれたのは、静岡産業大学でタンブリング競技に打ち込む杉浦夢菜さん・姫菜さん姉妹。

 

2026年6月、二人はそろって全日本選手権の代表選考基準をクリアし、11月に中国で開催される世界選手権の日本代表に選ばれました。

姉妹で同じ競技に向き合い、支え合いながら、世界の舞台を目指す二人。その歩みを伺いました。

 

 

タンブリング競技との出会い

タンブリングとは、25mのスプリング式の走路を使い、宙返りやひねりなどの技を8つ連続して行う競技です。技の難しさや美しさ、完成度などが採点されます。

 

夢菜さんと姫菜さんは、幼い頃から体操に取り組んできました。
そんな二人がタンブリングを始めるきっかけとなったのは、同じ体操クラブにいた先輩の演技でした。

「スピード感があって、迫力のある演技に圧倒されたんです」

先にタンブリングを始めたのは姉の夢菜さん。その姿を見て、妹の姫菜さんもタンブリングを始めました。
幼い頃から一緒に体操に取り組んできた姉妹は、やがてタンブリングでも同じ舞台を目指すようになりました。

 

そして今、二人が挑んでいるのは世界の舞台です。

姉妹だから、ここまで来られた

同じ競技を続ける姉妹にとって、お互いの存在は大きな支えになっています。

「いつも一緒に練習して、同じ時期に試合があって。自分がしんどいと思ったときに自分と同じ緊張感やプレッシャーを抱えて、自分より頑張っている存在が隣にいてくれる。それが心強いし、いつも助けてくれて感謝しています」そう話す姫菜さん。

一方で、姉の夢菜さんも妹への尊敬を口にします。

「基礎練習やトレーニングを本当に努力を重ねていて。すごい尊敬しています。一番頑張ってる存在の妹が隣にいて、ライバルとしても戦っていますけど、二人で切磋琢磨しながらやっています。本当に妹がいなかったら頑張れていないと思います」

 

姉妹であり、同じ競技に向き合うライバルでもある二人。そんな二人には、忘れられない約束があります。

 

姫菜さんが初めて世界選手権の代表選考基準をクリアしたとき、順位によって代表入りを逃したことがありました。

そのとき二人で交わしたのが、「次は絶対二人で世界選手権日本代表になろうね」という約束。

そして、次の選考会、姉妹そろって基準も順位もクリアし、姫菜さんも日本代表に選ばれました。

その知らせを聞いた夢菜さんは、涙を流しながら姫菜さんを抱きしめたそうです。

 

長い時間をかけて、二人で目指してきた舞台。
その喜びを分かち合える相手が、すぐ隣にいることも、二人にとって大きな力になっています。

 

選手として、コーチとして

二人は選手として競技を続ける一方、静岡産業大学が運営する「SSUいわた総合スポーツクラブ」で、子どもたちへの指導も行っています。

幼児から高校生まで、さまざまな年代の子どもたちとタンブリングを通して関わる時間は、二人にとって新しい学びの場にもなっています。

「大学生の間から子どもたちと実際に関わり、指導ができて、学んだことを実践することができています。保護者の方とお話ししたり、すごく良い経験をさせていただけてるなって思ってます」

 

選手として技術を磨くだけではなく、人に教えることで改めて気づくこともあるといいます。

「生徒が頑張っている姿を見て、改めて自分も頑張らなきゃって思います。子どもたちから学ばせていただいているというか」

「初心とかタンブリングの楽しさっていうのを、思い出させてくれる」

競技と指導。二つを両立することは簡単ではありません。

 

それでも、「それ以上に得るものが大きいので、やってきてよかったなっていうのをすごい感じます」と二人は話します。

世界を目指して競技に向き合う一方で、子どもたちと過ごす時間から、競技を始めた頃の気持ちを思い出す。

 

そんな時間もまた、二人の競技生活を支えています。

 

自分らしく、充実した時間を過ごせるわたし――

二人が大切にしているのは、タンブリングそのものだけではありません。

 

夢菜さんが今、競技を続ける中で感じているのは、もっと多くの人にタンブリングを知ってもらいたいという思いです。

「タンブリング競技ってマイナーなので、いろんな方に知ってもらいたいっていうのは一番自分の中にあります」

競技に打ち込みながら、地域の人たちや子どもたちとも関わる。

その一方で、姫菜さんは、今この瞬間の楽しさについてこう話してくれました。

「自分が好きな競技に楽しみながら打ち込める時間がすごく幸せです。あとコーチとして子どもたちと関わっている中で、技ができた楽しそうな姿を見ているとき幸せを感じます」

姫菜さんの言葉に、夢菜さんも大きく頷きます。

好きな競技に打ち込むこと。

子どもたちと一緒に、その楽しさを分かち合うこと。

 

それぞれの立場でタンブリングと向き合う時間が、二人にとっての「いいわたし」につながっています。

 

最後に、二人から磐田の皆さんへ、こんな言葉をいただきました。

「地元の皆さんの応援が力になっています。感謝の気持ちを結果で返していけるように頑張っていきたいです」

 

2026年11月、姉妹そろって立つ世界の舞台。

磐田で好きなことに打ち込みながら、一歩ずつ歩んできた二人の挑戦を、これからも応援したいと思います。

 

世界を目指す選手がいて、その姿を身近で見る子どもたちがいる。今回の取材で、磐田にあるスポーツの風景を、またひとつ知ることができました。

 

(2026/9/5取材)

 

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