地方都市の特徴のひとつに、都会と比較して、そのまちの出身者が多いことがあると思う。
だからこそ、大牟田で地元出身でない人に出会うと「なぜ、大牟田に??」と思わず聞いてしまう。そして、その方のこれまでの歩みを伺うと、全く予想外でおもしろかったりする。
今回、お話を伺ったのは、大牟田で生活支援コーディネーターとして働く上石 晶子(あげいし あきこ)さん。

東京で銀行員として9年間働いた後、イギリス留学を経て、縁もゆかりもない大牟田へIターン移住。上石さんが、このまちで8年間暮らし続けられている理由や、まちのお気に入りを伺った。
「自分のしたいことをしよう」
金融の世界から飛び出して、海外留学へ
埼玉県で生まれ育った上石さんは、20歳から東京で銀行員として働いていた。
生活の安定を感じながらも、どこかでこのまま同じ環境でいいのかというモヤモヤを抱えていたという。
そんななか、周囲の不幸や病気が続く。
上石さんが強く感じたのは「人間いつどうなるかわからない」ということ。
「自分自身のことを、もっと大切に考えながら暮らしていけないかなって。それで29歳のときに、この世界を飛び出して自分のしたいことをしようと思って、銀行員を辞めました」

(銀行員時代の写真)
向かったのは、イギリス。
憧れのあったヨーロッパで、英語とデザインを学んだ。

(イギリス留学時代)
日本に戻ってからは、デザインの見習いをしながら、東京のコワーキングスペースで働き始める。このコワーキングスペースが、大牟田との出会いを生む。
初めての九州で触れた 懐の深さ
コワーキングスペースで受付をしていたとき、人懐っこい常連さんがいたそう。
「仕事の話を聞いていると、とてもおもしろそうで。後に、その方が代表を務めるNPO法人の仕事を手伝うようになったんです」
このNPO法人の活動の一環として立ち上がった大牟田市との事業が、上石さんと大牟田を結ぶきっかけとなった。
事業立ち上げの期間、1年ほどは東京と大牟田の往復をすることに。
「九州に行くのも初めてだったんです。大牟田は本当に人が温かい土地で、遠くからよく来たねって受け入れてもらって、懐の深さを感じましたね」

事業が本格化するタイミングで、大牟田への移住を決意。
それから、8年。
車の運転をするようになるといった生活の変化から、結婚や出産といったライフステージの変化まで、この土地で経験してきた。
便利さだけじゃない、暮らしの居心地
8年間、生活の変化が激しいなかでも、大牟田に住み続けた理由を聞くと「暮らしやすさ」という言葉がでてきた。
現在は4歳のお子さんが生活リズムの中心にある。
「大牟田市内だけでも子どもと遊びに行けるところはたくさんありますし、埼玉へ帰省するときにも佐賀空港が近いし便利で。とにかくどこに行くにも行きやすいんです」
子どもを連れて行けるプールや屋内施設、ゆめタウンやイオンモールといった商業施設など、日常的に必要なものは大牟田市内で完結する。さらに、九州内のおでかけには九州自動車道、実家のある埼玉へ帰省する際には有明海沿岸道路を使って佐賀空港まで1時間以内で行けてしまうアクセスの良さ。

インフラが整っている高い利便性に加えて、上石さんが話してくれたのは、地域の人たちのこと。
「大牟田の皆さんは、ご自身のまちや地域をとても大切に思っていて、まちのために活動しようという方や、それを応援する方がたくさんいるんです」
こんなにも自分のまちに愛をもっている人がいることに、最初は衝撃を受けたという。

(大牟田に来てから出会った人たち)
「そういう方たちの輪の中にいると、私も応援したくなるし、すごく居心地がいいんです。大牟田は、本当にすごいまちだなといつも思っています」
わかりやすい機能的な良さだけでなく、まちを想う地域の人たちの存在や、その人たちがつくる空気もまた、8年間、上石さんが心地よくこの土地に住み続けられている理由だった。
心を奪われた真っ赤な夕日
そんな上石さんの日常のお気に入りは「大牟田の夕日」
「東京にいるときも、ビルの隙間の狭い空に沈んでいく夕日は見ていたんですけど…
大牟田に来てから、ふと、空が真っ赤なときがあって。なんだろうと思って見ていたら大きな夕日が目の前にあって、すごくびっくりしました」
大牟田では、遮るものが少なく空が広いため、綺麗な夕日が空全体を赤く染める風景を見られる。

「時々、夕日が落ちるのを眺めながら、自然のなかで生きてるんだなぁって感じさせてもらってます」
地域の人たちにとっては、当たり前に日常にある夕日がつくる空。
全く違う土地から来たからこそ、その自然の光景に心惹かれ、暮らしのなかの小さな楽しみをもてるのかもしれない。
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