エンジニアが働く場所は東京だけではない。TOPPANの函館拠点を選んだ3人それぞれの理由と地域だからこそ広がる仕事

地方に開発拠点を設ける企業にとって、「その土地で人材を採用できるのか」「地方が働く場所として選ばれるのか」は、進出を判断するうえで大きな論点です。

TOPPAN株式会社(以下、TOPPAN)は、DX事業を支える開発体制の強化と、多様な働き方の実現を目指し、2023年5月に「ICT KŌBŌ® HAKODATE」を開設しました。函館を中心とする北海道での採用を広げ、U・J・Iターンを希望する人の受け皿となることも、開設時から掲げていた役割の一つです。

函館市西部地区の歴史的建造物を活用したオフィスでは、道南へUターンした2人と、東京で採用された後、自ら函館勤務を希望した新卒社員が働いています。3人はなぜ函館で働くことを選び、仕事や暮らしにどのような変化を感じているのでしょうか。それぞれに話を聞きました。

函館で広がり続けるエンジニアのキャリア

情報ソリューションBU コア・テクノロジー開発本部 東日本ボーダレスイノベーション部 函館サテライトオフィス 大原裕紀さん

――大原さんは北海道の鹿部町で育ち、函館高専を卒業した後、神奈川県で就職しています。函館へ戻るまでの経緯から聞かせてください。

大原さん:最初に勤めた会社はとても忙しく、日々の業務に追われるなかで、仕事そのものを楽しむ余裕も、趣味やプライベートに使う時間もありませんでした。これからの働き方や生き方を見直したいと考え、実家のある道南へ戻ることを決めました。

函館へ戻った後もIT業界でキャリアを続け、複数のベンチャー企業を経験しました。その後、2023年にTOPPANが函館拠点を開設するタイミングで中途入社しました。

――働く場所を函館へ移しても、IT業界でのキャリアは続いています。函館拠点だからこそ経験できた仕事はありますか。

大原さん:あります。函館拠点では、DXによる地域課題の解決に向けて、一次産業の現場に足を運び、働く方々の声を直接聞きながら課題を探っています。その一環として、メンバーで牧場を訪ねたり、昆布養殖を営む漁師さんの船に乗せてもらったりしました。現場の声から課題を捉えられるのは、函館拠点だからこその面白さだと感じています。

――働き方を見直すためのUターンでしたが、実際に暮らしはどう変わりましたか。

大原さん:今は結婚し、2人の子どもと暮らす家も建てました。車で通勤しているので、朝、子どもたちを保育園へ送るのもスムーズです。

通勤で海岸沿いを走ると、函館山がきれいに見えます。その景色がとても気に入っています。子どもたちものびのび育っていて、今の環境は自分に合っていると感じます。

――休日に家族と過ごす場所や、函館を訪れる人に勧めたい場所を教えてください。

大原さん:白石公園にあるキャンプ場が好きで、一人でも友人や家族と一緒でもよく行きます。子どもが遊べる場所もあり、ゆっくり過ごせます。

食事なら、五稜郭エリアにあるジンギスカン屋さんや、函館駅前の朝市近くにある海鮮が美味しいお店はおすすめです。景色を楽しむなら、函館山麓の立待岬、隣の北斗市にあるきじひき高原もいいですね。きじひき高原からは、函館市街と大沼の両方を見渡せる景色が広がっていますよ。

函館へ戻る決め手は、地域に関わる仕事

情報ソリューションBU コア・テクノロジー開発本部 東日本ボーダレスイノベーション部 函館サテライトオフィス 佐藤篤志さん

 

――佐藤さんは道南で生まれ、函館で学生時代を過ごした後、札幌で就職しています。Uターンを決めたのはなぜでしょうか。

佐藤さん:大学時代、バイクにキャンプ道具を積んで北海道を一周する旅を2度経験するほど、北海道が好きでした。道南で暮らしたいという希望に加え、地域に関わる仕事がしたいという思いがあり、2026年2月にUターンでTOPPANに入社しました。

――「地域に関わる仕事がしたい」という想いは、現在の仕事にどうつながっていますか。

佐藤さん:主に自治体向けサービスの開発に携わっています。現在担当しているのは、まちの情報やセンサーから得られる情報を集め、住民へ発信する「PosRe®(ポスレ)」です。

AIカメラで熊を検知し通知する、新機能の正式リリースに向けた実証実験も進めています。地域の課題に直接関わる仕事が増え、高いモチベーションで取り組めています。

――サービス開発以外にも地域と関わる機会はありますか。

佐藤さん:函館西高等学校で、データ分析の授業を担当しました。仕事で培った知識を地元の学生に伝えられることにも、大きなやりがいを感じています。

――函館へ戻り、仕事以外の時間はどのように変わりましたか。

佐藤さん:函館では、時間がゆったり流れていると感じます。海の見える景色を楽しんだり、温泉やサウナへ行ったり、海岸沿いや五稜郭公園をランニングしています。仕事とプライベートに、しっかりメリハリをつけられるようになりました。

桔梗町にあるお気に入りの温泉はサウナに力を入れていて、屋外のサウナも充実しています。普段は落ち着いて暮らせる一方で、函館マラソンやバル街、港まつりなど、まち全体が盛り上がる日もあります。静かな日常とにぎわいの両方があることも、函館の魅力です。

函館勤務につながった「通勤時間は短いほうがいい」

情報ソリューションBU コア・テクノロジー開発本部 東日本ボーダレスイノベーション部 函館サテライトオフィス 猿川聖さん

 

――新卒で東京採用だった猿川さんが、函館を配属先に希望した経緯を教えてください。

猿川さん:研修期間中の配属面談で、「通勤時間は短いほうがうれしい」と伝えたところ、「ICT KŌBŌ®」のある地方5拠点が候補に挙がりました。

学生時代に横浜で暮らしていたこともあり、赤レンガ倉庫など、どこか雰囲気の近い函館を希望しました。現在は、函館拠点で主に開発を担当しています。

――実際に函館へ移り、毎日の通勤はどれほど変わりましたか。

猿川さん:東京で研修していた頃は、バスと電車、徒歩で往復約2時間半かかっていました。満員電車での通勤は大変でしたが、今は自転車で往復20分弱です。オフィスが海の近くにあるので、海を眺め、潮風を感じながら通勤する時間も気に入っています。

住環境もよくなりました。2口のガスコンロがあるキッチンで、パスタや中華料理などの自炊を楽しんでいます。

――東京の同期と離れて働くことに、不安はありませんでしたか。

猿川さん:同期と直接会いにくくなることは、デメリットだと感じます。ただ、同期約60人が参加するDiscordのサーバーがあり、地方で働く他の同期と一緒にラジオ配信をしています。そのため、寂しさは感じていません。

東京の同期や大学時代の友人、両親が函館へ遊びに来たときは、函館山や五稜郭公園を一緒に観光しました。オフィスのある西部地区は時間がゆっくり流れていて、心地よく暮らせる場所だと感じています。

――勤務地が変わったことで、仕事の内容にも変化はありましたか。

猿川さん:未利用資源の海藻を活用する取り組みのなかで、農作物の病原菌について調べる機会がありました。一般的なシステム開発だけでは経験しにくい、面白い仕事に携わっています。

地方で働くことは、仕事の幅が広がり続けるということ

大原さん、佐藤さん、猿川さんは、函館で働くまでの経緯も、担当する仕事も異なります。それでも3人に共通しているのは、函館でもシステム開発に携わり、エンジニアとしてのキャリアを重ねていることです。

システム開発を仕事の軸としながら、函館拠点では地域DXにも取り組んでいます。大原さんは一次産業の現場へ足を運んで課題を探り、佐藤さんは地域課題に直結するサービスを開発し、猿川さんは地域の未利用資源を活かす取り組みに携わっています。函館に拠点があることで、東京からは見えにくい地域の課題にも、現場に近い立場で向き合えます。

TOPPANが函館に開設したオフィスは、システム開発を担いながら、地域課題にも向き合う拠点です。企業にとっては新たな人材を迎える場所であり、働く人にとってはキャリアと暮らしの選択肢を広げる場所といえるでしょう。

チームリーダーの浮田さん記事はこちら

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