「ローカルディレクターのひとりごと」は、実際に地域での生活を通して感じたことや出会い、取材のこぼれ話などを綴ります――。
OFF TOKYOローカルディレクターの安江成美です。
夏休みに入り、日中のまちなかで学生さんの姿を見かけることが増えました。
そんな姿を見ながら、ふと「磐田で育つ子どもたちは、どんなふうに自分のまちを知っていくんだろう」と思うことがあります。
先日、その答えのひとつかもしれないと思う光景に出会いました。
磐田市に本社を置く株式会社ソミックマネジメントホールディングスが、子どもたちに向けて開催している「MONO-COTO CHALLENGE ENSHU」というイベントの見学でした。
中高生がチームを組み、デザイン思考を学びながら新しいアイデアを生み出すことに挑戦する、2日間のプログラムです。今年は約80名の生徒が参加していました。

私が訪れたのは1日目。グループワークやショートピッチが行われているタイミング。
会場には社員の方々や大学生の姿もあり、参加する中高生たちをさまざまな立場からサポートしている雰囲気が伝わってきました。
学校も学年も違う仲間と、真剣に向き合う時間
印象的だったのは、参加している子どもたちの表情です。
普段通っている学校や学年もバラバラな中、初めて顔を合わせるメンバー同士でチームを組み、真剣に意見を出し合っていました。

目的やターゲットを決めて、アイデアを出し合う。イラストや会場にあるアイテムを使い、イメージを膨らませる。
約80名の中高生たちが、それぞれの場所で真剣に向き合っている様子に、思わず引き込まれました。

初対面同士とは思えないくらい、チームごとに夢中になって話している姿が印象的で、参加している子どもたちが「自分たちで考える」ことを楽しんでいるように感じました。
気づけば、まちのあちこちに「触れる場所」が
このイベントをきっかけに、「磐田には他にも、子どもたちが地元の企業に触れられる機会があるのかな」と気になり、調べました。
例えば、ヤマハ発動機株式会社の企業ミュージアム「コミュニケーションプラザ」では、バイクなどの展示を歴史とともに見学することができ、夏休みには親子で参加できるものづくり体験教室も開催されるなど、イベントも多く開催されています。
株式会社河合楽器製作所でも、実際のものづくりの現場を見学することができるそう。
こうした場所も、子どもたちが「自分のまちには、こんな仕事やものづくりがあるんだ」と知る入口なのかもしれません。
私自身、「地域を知る」というと、まちの名所を訪ねたり、歴史を知ったりすることを思い浮かべていました。
でも、地域にある企業や、そこで働く人、ものづくりに触れることも、そのまちを知ることのひとつ。
そう考えると、磐田には意外と身近なところに「地域を知る入口」があるのだと気づきました。
子どもの頃の体験が、未来につながるかもしれない
子どもの頃から地元の企業や産業に触れる機会があると、将来の進路や仕事を考えるときにも、「こんな仕事が地元にあるんだ」と思い出すきっかけになるのかもしれません。
以前取材で知った、ジュビロ磐田のホームゲーム小学生一斉観戦の話もそう。
磐田で暮らしていると、子どもたちが、自分の育つまちについて知る機会が、あちこちに散りばめられているように感じます。
地元企業の仕事やものづくりに触れたり、スポーツを通してまちとのつながりを感じたり。
そうした一つひとつの経験が、「自分のまちには、こんな仕事があって、こんなことに挑戦できるんだ」と知るきっかけになっていくのかもしれません。

もし自分がこのまちで子ども時代を過ごしていたら、どんな風に育っていただろう。
そんなことをふと考えてしまう、夏の午後でした。
(2026/9/4)