からあげグランプリ最高金賞。大牟田「クレタ」の無添加チキン南蛮が日本一に輝いた理由

「最後のひとくちが、一番美味しい料理を出したい」

そう話すのは、大牟田市岩本新町にある「心とからだがよろこぶチキン南蛮クレタ」の店主である塚崎 明香(つかざき あすか)さん。

2025年の「からあげグランプリ」チキン南蛮部門で最高金賞を受賞した一皿には、無添加へのこだわりだけではない、食べる人の身体を想う積み重ねがあった。

<最高金賞を受賞したクレタのチキン南蛮定食>

初出場で最高金賞!
日本一のチキン南蛮

クレタの認知を大きく広げたのは、2025年に開催された「第16回からあげグランプリ」。

日本唐揚協会が開催する「日本で一番うまい唐揚げ屋さんを決める」大会で、全国からエントリーした571店舗が、弁当、手羽先など11部門に分かれて審査された。

クレタは、そのチキン南蛮部門で、初出場にして、見事「最高金賞」を受賞。

<店内入り口には表彰状が飾られている>

「認知のきっかけになったら、くらいの軽い気持ちでエントリーしたんです。賞をもらえると全く思ってなかったので、驚きました」

そう顔をほころばせて語る塚崎さんは、無添加にこだわったチキン南蛮を12年間作り続けている。

最後のひとくちが一番美味しい
12年間の無添加への執念

24時間オリジナルの塩麹に漬け込まれた食べ応えのある肉厚チキンは、分子調理機を使って、揚げられている。

これによって、冷めてもカリッとした衣の食感を維持し、通常のフライヤーと比較して吸油率を最大50%カット。

揚げ物特有のだんだん胃にくる感じがない。

「初めの『美味しい!』も大事なんですけど、そこがピークじゃなくて、最後のひとくちが一番美味しいものを出したいんです。調理のあらゆる場面で使われる塩や水から、お客さんの身体が元気になるものを選んでいます」

調理師専門学校時代に教わり、今も大事にしているのは「食べるごとに美味しくなっていく料理」

天然醸造の醤油や味噌、ミネラルが豊富に含まれる天日塩など、調味料はとことん無添加を追求している。チキン南蛮に欠かせないタルタルソースは、平飼いの有精卵を使い、なんと毎日マヨネーズから手作りしているそう。

さらに、こだわりは「水」にまで及ぶ。お客さんに提供するお水はもちろん、出汁や炊飯に使う水まで、デトックス効果のある還元水を使用している。

2014年にお店を開いた当初から無添加を追求し続けた末に、今のチキン南蛮にたどり着いた。

「『外食に健康管理を求めてないんだ』と言われたこともあったんです。でも、長く関係を続けていくためにも、お客さんには健康でいてほしいという想いがあって。やっていることを少しずつ理解してもらうようにしています。からあげグランプリの最高金賞を獲れたときは、この想いが料理を通して審査員に伝わった気がして、嬉しかったですね」

<店内の黒板に書かれた塚崎さんの想い>

なぜチキン南蛮?地元を出て気づいた
大牟田の「タルタル文化」

2014年の開業当初から、チキン南蛮を看板メニューとしてきた。

よっぽどのチキン南蛮好きなのだろう…と思いきや、驚くべき答えが返ってきた。

「チキン南蛮はもともと好んで食べる方ではなかったんです」

塚崎さんは、大牟田に生まれ、東京の調理師専門学校を卒業した後、小笠原諸島の宿で料理を提供していた。子どもが中学校へ進学する前に、地元・大牟田へ戻ってきた。

「大牟田って、イカタル弁当をはじめ、タルタルが絡む料理を出しているお店が多いんですよ。大牟田でお店を出すなら、チキン南蛮かなぁって、客観的に考えていました」

<大牟田のソウルフード「イカタル弁当」>

地元を離れたからこそ気づけた、大牟田のタルタル文化。チキン南蛮という看板メニューは、意外にも地域の特徴を踏まえた、合理的な理由から始まっていた。

健やか料理の追求は、
病を乗り越えた原体験から

実は、塚崎さんのエネルギーの根源にあるのは「美味しいチキン南蛮の追求」以上に、「お客さんが健やかになる料理を届けたい」という強い想い。

その背景には、食生活の改善を通して乗り越えた原体験がある。

以前、大病を患い、抗がん剤や放射線治療を行うも、なかなか体調が戻らなかった。

八方塞がりの闘病生活のなか、見直したのは日々の食事。

「もともと健康志向ではあったんですけど、より無添加のものや、体の巡りをよくするものへの意識を高めて、食卓から変えていきました」

試行錯誤しながら、口にするものを自然由来に変えていくことで、少しずつ体調が改善していったそう。

「食べたものが、自分の体をつくるんだと痛感しました。体に良くないものを出して、お金をいただいても嬉しくないんです。足を運んでいただいたお客さんに、元気になって帰っていってほしい」

1番の人気メニューは、チキン南蛮に、パンケーキとドリンクがついてくるランチセット。

有機小麦にきび砂糖とジャージー牛乳を使ったパンケーキは、ベーキングパウダーを使わずにふわふわの食感を出せるよう研究を重ねた逸品。思わずテンションが上がる可愛い見た目にもこだわっている。

「外食は、なんだか楽しいものじゃないですか。その楽しさと、健康を両立できる料理をこれからも作っていきたいです」

真っ直ぐな目でそう語ってくださった。

取材後記

取材を通じて印象的だったのは、塚崎さんは、大切な家族に食事を出すような熱量で、お客さんの健康を心から願っていたこと。

料理を提供する人の「健やかさ」への実直な姿勢と愛情こそが、最高金賞という「日本一」の称号を引き寄せたのだと感じました。

大牟田が誇る、心も身体も満たされる至福のランチ。

ぜひ一度、味わってみてはいかがでしょうか。

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