フォトグラファー、デザイナーが選んだ 鳥取だからこそできる生き方

都会で働くイメージが強い、クリエイター職。でも見方を変えると、地方だからこそできる仕事がある。そんな働き方を実現しているのが、フォトグラファーの長谷裕太郎さんとアートディレクター/デザイナーの黒田朋花さんご夫婦。

鳥取市河原町・西郷地区という場所で、地域に光を当て、その魅力を発信しているお二人の「仕事」と「暮らし」について聞きました。

長谷さんはUターン、黒田さんはIターン移住でこの土地に移り住んだ。移住後は、西郷地区の工芸作家さんをはじめ、鳥取のクライアントをメインに、写真や映像の撮影、デザインの制作、ブランディングなど幅広く取り組む。

 

心の余白から生まれるもの

二人のリフレッシュタイムは、近所を散歩すること。川沿いの遊歩道は、水の音や鳥の声が聞こえ、それ以外の音はほとんど聞こえない。その先に見える、季節ごとに姿を変える田園風景もお気に入り。

 

「移住してから、心に余白が生まれた気がします。ちょっと丁寧に料理してみようかな、ちょっと散歩に出掛けてみようかな、とか」と黒田さん。

 

都会の喧騒や情報の多さから、心にいつの間にか余白がなくなっていた。西郷地区の自然との距離の近さは、黒田さんの心の余白を取り戻させてくれた。

「二人で散歩している時に、アイデアが浮かんできたり、逆にタスクがパンパンになっている時に、アイデアの整理ができたり、そんな時間にもなっています」と長谷さん。

 

散歩の時間は二人にとって、アイデアを生んでくれる時間でもある。この自然との距離の近さが二人の暮らしと仕事に欠かせない存在になっている。

 

この場所を選んだ理由

 

長谷さんは鳥取市出身。黒田さんは鹿児島県出身。鳥取に来る前は、東京のスタジオで広告の撮影や制作の仕事をしていました。2022年、独立して事務所を立ち上げるタイミングで鳥取市へ。せっかく独立するなら、都市部とは違う環境で、自分たちらしい仕事の形をつくってみたい。そんな思いもあり、鳥取市での開業を選んだ。

「西郷地区は、一言で言うなら『穏やかさとクリエイティブが共存している場所』です」と長谷さん。

 

この西郷地区という場所は、工芸の郷として鳥取で育まれた民藝や、陶芸、ガラス、木工などの工芸品を作る作家が多くいる。

 

「西郷は豊かな自然があるだけではなく、面白い感性を持った方々との交流があります。そんな心地よさと刺激のバランスが私たちの仕事にとって、すごく理想的なんです」

 

2025年9月、事務所の名前を新たに「長谷光図舎」とした。地域のお客さまに光を当て、その魅力を鮮やかに映し出すという想いが込められている。

 

この場所だからできること

「東京にいた頃と一番変わったのは、クライアントとの関係性です。単に依頼をこなすのではなく、パートナーになって一緒につくるということが今は楽しいです」と黒田さん。

 

鳥取市に住み始めてから、地域活動に参加して顔を合わせる機会があったり、困り事があればお互いに助け合う空気感があり、暮らしの距離が近い。

 

そんな風に、地域に溶け込むことで、クライアントの依頼の背景まで見えるようになった。ただ依頼を受けてその通りにこなすだけでなく、仕事以外の話もしながら一緒に作っているところに手応えを感じている。

「『いい意味でのおせっかい』の文化があるように感じます。私たちの仕事を理解して、人を繋いでくれたりとか」と長谷さん。

 

地域のつながりから仕事をもらう。地域に頼られるというのは、地方だからこその喜びとも言える。当然、クライアントになりうる数は東京の方が多い。しかし、この場所だからこそできる仕事があると、移住して気づいた。

 

「仕事」と「暮らし」を切り離すのではなく、どちらも丁寧に両立している二人。

「日々の豊かな暮らしがあるからこそ、良いアイデアが生まれますし、良い仕事ができるからこそ、暮らしも充実する。その幸福な循環の中に身を置けていると感じたときに、この場所に来て良かったなと思います」

二人は今日も、この場所でしかできない方法で鳥取に光を当てる。

 

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